ミシェル・ブラスが語る日本料理 - 2

Michel Bras eating tempura in Japan

精巧な技の数々


火加減、発酵、熟成、切り方......どれをとっても、日本料理ではあらゆる技法が完璧にマスターされている。テクニック」といっても、最近よく使われるような意味ではない。テクニックのためのテクニックという意味ではない。私が言うテクニックとは、経験と観察、そして食材に対する深い、ほとんど精神的な尊敬の念の上に築かれた、確固たるバックボーンを持っているものだ。

A traditional soy sauce factory. Soy beans are being fermented in wooden barrels to produce that essential condiment of Japanese cuisine.

伝統的な醤油工場。木樽の中で大豆を発酵させ、日本料理に欠かせない調味料を製造している。
例えば、エビや魚、野菜を使った伝統的な揚げ物料理である天ぷら。サクサクとした食感が楽しめるだけでなく、元の食材の風味や色合いも残すことができる。それを可能にしているのは、冷凍の冷たい状態から180℃に揚げるまでの、タイミングが重要な、手の込んだ技術のおかげである。これは最も難しいテクニックのひとつであると同時に、最も消化の良いテクニックでもある。

tempura fried and ready to be eaten

味噌汁に使う味噌を作る技術もまた、魅力的な伝統である。日本では、ヨーロッパのチーズやワイン作りと同じくらい重要な、もうひとつの複雑なノウハウがここにある。それぞれの家、それぞれの生産者は、何世代にもわたって大切に保管されてきた独自のこうじや菌を持っており、それが独自の味噌ペーストの特徴を決めている。

Soy beans fermented in various ways to produce different types of miso.

Soy beans are fermented in various ways to produce different types of miso.

魚介類の鮮度基準は日本が突出しており、その鮮度を保つための池締めの技術は、ただただ驚嘆すべき品質を実現している。fresh japanese seafood for sushi

そして、寿司用の魚介類を切る器用さと技術はどうだろう!これは非凡な技術であり、本物の寿司の繊細さを提供するために不可欠なものでもある。熟練した寿司職人とは、プロポーション、大きさ、形、密度、温度などのバランスを正確に把握できるようになるまで、何年も練習を重ねることを意味する。

nigiri sushi making steps

ここで私が強調したいのは、テクニックは料理や食品を向上させるためにあるのであって、その逆ではないという事実である。

sushi master food preparation