Michel BRAS Kitchenware

これは、ライヨルのミシェル&セバスチャン・ブラス、そして関の遠藤宏治と浩彰をリーダーとするKAI グループが、およそ20年前に心を一つにして立ち上げたプロジェクトです。始まりは、とことん納得のいく包丁を作りたいという共通の思いでした。そして今日まで同じ志、好奇心、そして程よい緊張感が維持されたことで、調理の時間を豊かにするさまざまな製品が生み出されてきました。

「調理という無限の可能性へのインスピレーションたれ」という志と、「優れた道具は食材を傷つけることなく」という、ものに対する基本姿勢が二つの地方を繋ぎ続けています。その異なる文化と共通した想いから生まれた成果は、この製品を持って食材に触れた瞬間に理解して頂けることでしょう。



Michel & Sébastien BRAS

ミシェル・ブラスは、2016年にガストロノミーの専門誌「Le CHEF」において、世界から528名のミシュラン星付きシェフが参加した企画で「世界に最も影響を与えているシェフ」に選ばれました。

ゴー・エ・ミヨが、ライヨル村の小さなオーベルジュを訪れ、若きミシェルを「歴史的大発見」として自らの雑誌でフィーチャーした1978年から、約40年後のこととなります。今日では西洋料理に限らず、世界のさまざまな現代的な料理の盛り付けにもミシェルがその頃に始めたスタイルを見ることができます。同じ頃開発されたクーランは、今日では世界のフランス料理店がフランス料理店であることを示すデザートメニューとなっています。

そして何よりも、今のような重要な地位になかった野菜を主体とした料理を、ガストロノミーの世界において主役の一つに引き上げたことは、最も大きな功績と言えるでしょう。同じ線の上には、地元オーブラック地方の生産者とのコラボレーション、地産地消への拘りなどもあります。レストランの庭で野菜やハーブを栽培し、摘んだその日のメニューに加えられる光景も、今では世界中で行われるようになっています。

セバスチャン・ブラスは、ミシェルからシェフのポジションを受け継いで、途切れることなくその後10年の間ミシュラン3つ星を維持しました。その後、自分達の信じる料理とサービスを、わざわざ遠方から訪れてくれるお客様方に提供したいと切に思うに至り、ミシュラン星を返上し今日に至ります。常に自分達の信じる道を探究し続ける親子は、提供すべきものは最終的なものだけに留まらず、プロセスも同じように大切なものと考えています。道具に対する深い思いもそこから来ているのです。道具は、調理という広大な宇宙において手がかりとも言える重要なもので、自ずと期待も大きく妥協も見当たらないのです。



KAIグループ

800年もの間、日本刀造りの地として国中に知られた関。国内有数の清く豊富な水量を抱える長良川、燃やすと火力の強い赤松が繁る周囲の山々、中世における勢力争いの地=すなわち戦地に近いなどのいくつかの理由を背景に、卓越した刀鍛冶の町としての名を誇りました。江戸時代に国が統一され戦がなくなると、関の刀鍛治は全国に散らばって、侍の誇り故に、より質が求められる象徴としての刀づくりに励みました。

近代が訪れ武士階級が消滅した19世紀後半、この町は刀中心から刃物全般に産業を移行させました。人口10万人にも満たないこの町に、今でも1000を超える刃物関連の会社が肩を寄せて並びます。刃物を打つ、刃をつける研ぎ音の絶えないこの町で、ひときわ目を引くのがKAIの文字。今日、この地以外に、アメリカ、中国、ベトナム、インドに生産拠点、欧米を始めとするさまざまな国々に販売拠点を持つグローバル・カンパニーとして、多種多様な製品を送り出す会社です。そのKAIが調理器具の最上級に位置付けるMichel BRAS ブランドは、日本製に拘り、部品の一つ一つの磨きから組み立てまで、そしてもちろん最後の微妙な刃付けまで、全て熟練工の手がかけられ、この地から出荷されていくのです。