生江史伸がシェフを務めるレフェルヴェソンスはMichelin 3 starであり、Asian best 50’s の常連で、2023年にはそのアイコンアワードに生江シェフ自身が選出された。海の再生に重要な役割を果たす海藻について国連で講演をしたり、生産者とフードロスや食の安全性などに関する共同作業を行い政府に働きかけたり、ガストロノミー業界にも社会や地球のためにさまざまなことができることを証明するシェフとして世界で注目される。
しかしながらこのBricolage bread & co.は、食べてくつろぐ時間の喜び、自分たちの街にそういう時間が過ごせる場所が欲しいという純粋な動機から生まれた、個人や仲間の共感や実感に立脚する快作だ。
レフェルヴェソンスで提供するために、わざわざ大阪から毎日送ってもらっていたブーランジェリー「ル・シュクレ・クール」その岩永歩と、生江シェフが美味しいコーヒーでくつろぐために通っていた「フグレントウキョウ」の小島賢治の3人のインスピレーションが揃った時が、この場所が生まれる時だった。美味しいものが人にもたらしてくれること、その素晴らしさ、可能性を信じている3人が一緒にやらなければできない何かをやる喜びが柱になっている。
ガストロ・バーガー、ガストロ・タルティーヌと美味しいコーヒーで、忙しい日のひとときを大きめなテーブルに腰掛けて気分を変えて過ごす。マクロな視点での社会や環境問題に向ける眼差しと同じパッションとエネルギーで、こうした日々の個人単位のちょっとした喜びの提供にも体が動く。素晴らしいことだ。
一体、どのように時間を分割したら、このように多彩な活動ができるのか、開目見当がつかない。ガストロノミー業界は、店舗を多数展開するだけで、得てしてそのクオリティの問題が問われる。しかし彼はその領域を超えた活動をもしながらも、レストランやカフェの質は揺るがないし、ますますその洗練は進化している。全てが繋がっているからこそ、成し得ることなのだろう。味は雄弁だ。
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