ル・クーラン
一見シンプルな外観のデザートには、ミシェル・ブラスの技術と感性が秘められています。固いビスキュイ生地を割ると、中から温かいチョコレートが溶け出るという画期的な発想は、実現するまでに2年以上の歳月を要しました。様々な可能性を追いかけた果てに、ついに完成したクーランを前に、ミシェルは「言い表せないほどの喜びに満たされた」と語っています。
喜びと感動を呼ぶクーランのインスピレーションとなったのは、家族の心温まるエピソードでした。
雪が降り積もるある冬の日、ミシェルと妻のジネットと子供たちは、スキー場から帰ってきました。まだ体が凍えたまま、沈黙に包まれたテーブルを囲むと、ジネットがココアを用意しました。カップを持つ子どもたちの小さな手も温まり、誰もが笑顔を浮かべると、やがて食卓はいつもの賑わいを取り戻しました。この時の喜びを、料理で表現したいというミシェルの想いが溶け出すクーランは、やがて世界の多くのシェフに多大な影響を与え、デザート・メニューに変化をもたらしました。