KHAAN バンコク:シェフ・アオムが愛するタイのストリートフードのビジョン

ストリート・フードというカテゴリーは、 常に興味深い。 客に供される時は、 最後の⼀⼿間を加えられた簡単なものだが、ローカルの素材特性や地域の⽣活特性などへの徹底的な適正、そして同じストリート内での競争と共⽣が⾼度に洗練されている⾷⽂化だ。 世界のどこを旅⾏してもその魅⼒は雄弁に語りかけてくるが、東南アジアはその宝庫とも⾔える地域で、 その中でもタイのそれはクオリティ、 多様性、 ダイナミズム、 楽しさ、 などにおいて屈指のものであるだろう。

2021 年にタイの YOUNG MICHELIN CHEF に選ばれた KHAAN の Aom はバンコクのストリートフード ・ カルチャーをガストロノミーレベルに解釈し直して、 世界に認めてもらいたいと願っている。 ⽗親を始めとして料理⼈の家族に育ち早くから道を決めていた Aom は、⾼校卒業と同時にマンダリン・ホテルの料理学校に進む。卒業後、数々のガストロノミー・レストランで経験を積み、Le Normandie 時代には Juen Amador や Thomas Keller などが ゲストシェフとして招かれたときに指導を受ける機会も得た。

 Kiin Kiin で Molecular cuisineを学び Issaya Siamese Club での executive chef を務めたのち、⾃分のテーマを実現するた めに独⽴した。 サステイナビリティを⼤切にし、⽣産者が安定して仕事ができるような関係を築きながら、各地の素晴らしい農産物を使う、 その意味では極めて今⽇のガストロノミーシェフだ。 しかし常に忘れないのは、 彼⼥が愛してやまないバンコクのストリート・ フード ・ カルチャーを、ガストロノミー・レストランのテーブルの上で、 如何に輝かせ顧客の感動を呼べるか。そのテーマへの毎⽇のチャレンジが彼⼥だけのユニークな味わいをもたらしている。