タイ料理がエスニック料理から world cuisine の中のタイ料理に変わっていく時代のバック グラウンドに常にいたのがプリンだ。マンダリン・オリエンタル(当時マンダリン)のレス トランSala Rim Naam が彼の初めての職場だった。バンコクの世界に対する顔であったホテルの同じく顔であったレストランでタイ料理を学んだ。そして、タイ料理をロンドンに集まる人々にその頃始まっていたガストロノミーのコンテクストにも乗るような、そして食べやすい料理に変換したオーストラリア人 David Thompson の右腕として彼を支えた。ロンドンのミシュランで、初めてタイ料理として星を獲得した伝説の Nahm。2010 年にロンドン店を閉め、バンコク Nahm のヘッドシェフを 2018 年まで務めた。
20年以上もタイ料理の国際化とガストロノミー化に奔走したプリンは、現在のSamrub Samrub Thai を舞台に、自分の両親のローカル料理の深掘りをしている。消えてしまった幻のメニューを、村のおばちゃんの料理メモを開いて復活させ、それに必要な野菜を野生の環境から探し出したりする日々を送る。今の時代だからこそ、ガストロノミーのコン
テクストにおいて、北東部イーサンその他の地方で受け継がれてきた自然と住⺠との交わる知恵と喜びを再構成することができる、そう確認を持って日々キッチンに入る。生き方の料理がサーブされる。